学院長から新年のご挨拶
皆さん、明けましておめでとうございます
昨年はコロナが少しずつ緩和されてきて(というかむしろ慣れてきてというべきか?)、日常を徐々にではありながらも取り戻してきたといえるでしょうか
日中学院においては、ようやく日本語科の留学生が来日できるようになり、本科・別科とも少しずつ人数の増加がみられるようになりました。それでも直近のピーク時に比べるとまだ 70%くらいですが、少し明るい兆しと言えるでしょう。
一方、昨年の初めには吉田元学院長がご逝去されるという訃報に接し、大変残念にまた、くやしい思いにさせられました。半世紀にわたり当学院の学生から講師、副学院長、学院長とすべてを経験され、まさにこれまでの学院の歴史を体現された方でした。
年末近くにはしのぶ会を挙行しましたが 60 人以上の方々が集まり思い出話に花を咲かせました。吉田先生の当学院に対する貢献とそのお人柄ゆえのことでしょう。改めて、当学院の輝かしい歴史を思い起こし、身が引き締まる思いでした。
それと同時に、これらのいろいろなことを通し、ある意味で日中学院も新しいフェーズに変わっていくまさにその境界上にあるのかとも感じさせられました。
この半世紀の間に日中間の経済力も逆転し、それに伴い日中関係もところどころぎくしゃくしてきました。一方では若者の間では、ポップなカルチャーは国境がなくなり、いろいろな新しい文化交流もできています。
世代の交代とともに、中国を見る日本人の感覚も大きく変わってきております。日中学院は常に友好の懸け橋となるべく語学と文化の教育に力を入れてきたわけですが、その架け橋もそろそろ架け替えて、新しい感覚をもてるようにならないといけないのかもしれません。
若者の中国を見る見方、関心のもちどころ、また、中国人の日本を見る見方、などが少しずつでも反映できるような教育機関でなければ、これからの時代にマッチした友好の懸け橋として続いていくことができないかもしれません。ぜひ、これからも日中学院を応援していただきたいとともに、少しずつ変革していけるようにご意見やご協力をいただきたいと思います。
2023年1月 日中学院 学院長 小松健次
学院長補佐兼事務長就任のご挨拶
自己紹介
皆様こんにちは。2022年10月1日に学院長補佐兼事務長を拝任しました由本(ゆもと)です。
私は、1977 年に事業会社に就職した後、そのサラリーマン人生46年の内40年近くを海外業務に従事して過ごしましたが、その海外業務の 100%が中華圏
ビジネスでした。
そして、退職後は日中間ビジネスのお手伝いを目的にコンサルティング会社を起業しました。つまり、私の人生そのものが中華圏ビジネスにドップリ浸かっている、という事になるわけです。
おかげで北京、上海、香港、台北と場所を変えながらも都合20年余り日本を離れて暮らすことになってしまいました。あっちで何年、こっちで何年、浮草の様な人生ですね。
北京で始まった初めての駐在生活では、輸入品のスーパー、外資系ホテル、本格的な和食・洋食のレストランも無く、365日朝昼晩中華料理の生活が何年か続きましたが、不思議なことに全くストレスを感じなかったことを覚えています。私の体は余程中華に馴染み易い体質なのでしょう。
各任地における生活は存分に謳歌させてもらいましたが、それでも、休暇等で帰国した際には絶対やっておきたい3つの事がありました。それは、某チェーン店の牛丼を食べる事、決して上質ではない油で揚げた天ぷらをトッピングした立ち喰い蕎麦を食べる事、そしてパチンコです。高級な寿司、懐石を食べ逃しても何も後悔はありませんでしたが、この3つはどうしても達成しないと任地に帰れない気分でいっぱいでした。どうしてそこまで拘るのか自分でも分からなかったのですが、ある日気付いた事は、3つとも中国には無かったのです。絶対あり得ないパチンコは別として、牛丼や蕎麦は中国でも食すことができます。
しかしながら中国で食べる牛丼と天ぷら、天ぷら蕎麦は、どうしても似て非なるものに成ってしまうのです。おそらく中国では高級な作り方になってしまうからなのでしょう。いずれにせよ全て良い思い出です。
ところで、この度拝任しました日中学院の仕事ですが、教育機関の運営に全く経験が無い私に務まるのだろうかという逡巡はありました。ですが「日中」という二文字に親近感と安心感を覚え、最終的に引受ける決断をさせていただきました。それと同時に、経験則的に考えて、如何なる分野であろうと組織の運営という意味では共通点の方が多いであろうという考えもありました。
教育機関に係わる特性を早急に理解し、把握し、勤めに邁進してまいります。皆様のご指導ご支援をいただきますよう宜しくお願い申し上げます。
学院長補佐兼事務長 由本 達弥
A先生の新語コーナー
双减 shuāng jiǎn
二つの軽減。義務教育段階にある生徒の宿題の負担と塾通い(原語は校外培訓)の負担を軽減すること。2021年の秋学期から全面的に実施されている。宿題については小学1、2年生には出さず、3~6年生は60分以内、中学生は90分以内で終える分量とする。学習塾は新規開設を認めず、既存の塾は非営利団体として再登録させる。また株式上場による資金調達を禁止。この政策の背景には少子高齢化問題があり、中国は3年で顕著な成果を上げることを目指している。(A)
文化祭
本科2年 中島由紀子
今年も規模を縮小した形ではあったが、日中学院の文化祭が行われた。
昨年同様、私はとても緊張していた。今年の本科二年の演目は「新闻连连播」アナウンサーになりきって原稿を読み上げるというものだった。
二年生になると、少し自信もつき、発表することが楽しみになると思っていたが、まったく違っていた。自信なんてひとかけらもない、ガチガチ状態だった。しかしながらこんな私もどうにかこうにか無事に読み終えることが出来た。
今年の文化祭は昨年よりも演劇が多かったが、どの学年も沢山練習を重ねて来たことがすぐにわかった。本科一年の「西游记 金银大王」は配役がぴったりとマッチし、また程よく笑いもあり、それぞれが良い味を出していた。日本語科一年の「ちびまる子ちゃん」はモノマネのクオリティが高く、まるでテレビを見ているかのようだった。
個々の演技力も素晴らしかった。日本語科有志による「二胡演奏」私は初めて二胡の生演奏を聴いたが、一気にこの世界観に引き込まれた。会場にいた人々もきっと同じような感覚になったに違いない。本当に感動した。
それから、日本語科三年の「株を守りて兎を待つ」「将軍の奥様選び」へと続いた。やはり三年生ともなると、日本語も流暢で安心して見ていられた。話の落ちもしっかりとあって面白かった。最後のダンスはとても可愛く、しかも上手でアイドルかと思った。そして、本科有志による「太極刀」、格好良かった。このような発表の場であってもいつも通りの力を発揮できることは本当に凄いことだと思う。
本科研究科の「研究科の日常」では日々の苦労などユーモアを交えて話していた。
私は聞きながらクスクスと笑ってしまったが、実際は本当に大変な思いをしながら学んでいることを考えると尊敬の念しかない。気づけば、今年の文化祭もあっという間に幕を閉じていた。
同じ漢字文化を持ちながらも生活文化は違うことも多い日本と中国。
本当に分かり合うことは難しいことなのかもしれない。しかし、少なくともここで学ぶ人々とはきっと分かり合えるはずだ。きっかけは何であれ、互いの国に興味を持ち、言語の学習を通じて様々なことを知ろうとする気持ちは同じなのだから。
文化祭などの交流によって少しでも相互理解を深めることができればこんなに素敵なことはない。
来年、観客として私はまたここに来るだろう。両国の架け橋の一つであるこの場所で、従来通りの文化祭が開催されることを期待している。そして最後に、制限のあ
る中でもこのような素晴らしい文化祭が出来たこと、先生方をはじめ今回の文化祭に関わったすべての人に心から感謝したい。
日本語科1年 梅文珺
10月末、みんなが楽しみにしていた日中学院の文化祭がついに開幕しました。
最初の演目は、中国語科本科の一年生が演じた「西遊記」でした。とてもおもしろかったです。セリフがはっきり聴きとれただけでなく、感情的な演技も豊富で、小さい頃から「西遊記」を見ていた中国人である私にとって、とても感動的なものでした。
私たちの「ちびまる子ちゃん」は二番目でした。時間が経つのは早く、私たちはすぐに舞台に立ちました。緊張しないで、いつも通りの力を発揮すれば、問題ないと自分に言い聞かせました。全校の前で公演するのは初めてなので、私は少しも自信がありませんでした。演じているうちに、心が落ち着いてきて、私たちも無事に「ちびまる子ちゃん」を演じ終えることができました。
舞台を降りた後、学生たちと先生たちが私たちの舞台を褒めてくれました。歓声も拍手もすごかったです。私は満足感を得ました。私たち日本語科1年生の努力が、みんなに認められました。
三番目は本科二年生の「新聞連連播」でした。中国語のレベルがとても高くて、驚きました。そして、その後の同級生である杜さんの二胡演奏と本科生である松下さんの太極刀も、とても素晴らしいと思いました。最後の研究科の学生の中国語も、まるで中国人の発音のようで、とても素晴らしかったです。
感動しました。もちろん、日本語科の先輩たちが演じた「株を守りて兎を待つ」や「将軍の奥様選び」も、とてもおもしろかったです。
別科朗読大会報告
10月1日(土)、3年ぶりに別科朗読大会が開催されました。30以上のクラスから100人以上が参加した他、企業研修チームや外部の高校からの参加もあり、当日は立ち見が出るほど盛況でした。
後半には陳淑梅先生にもお越し頂き、講評をお願いしました。この日のために、授業後も先生方と熱心に練習に励んだ成果が実った一日になりました。
図書室だより
先行きの読めない今年2023年も本を読んで充実した日々を!
今期、本課研究科「中文日訳」を科目履修しています。12月現在の課題は『魯迅』の短編『故郷』。この作品は中国でも、日本でも中学校の教科書に収録されており、覚えていて内容を語ってくれた人もあります。
最近の新着図書の中に魯迅に関係する本がありましたので、ご紹介します。
周作人自伝 河出書房新社
周作人著 劉岸偉/井田信也訳
魯迅の弟で、共に日本に留学、滞在し、「新文学運動」に関わり、その後北京大学の教授になった作家・翻訳家・日本研究家である周作人の自伝『知堂回想録』の初めての翻訳本。
『魯迅を読もう』〈他者〉を求めて 春秋社
王欽Wang Qin著
著者は上海生まれの中国人。NY大学で博士号を取得し、現在は東大大学院准教授。この30代の若者による日本語での魯迅論。
第4章 希望の政治学で『故郷』を取り上げています。
中国語とはどのような言語か 東方書店
橋本陽介著
小説言語の研究者が、基本文法、語彙、品詞等から書き言葉の「連続構造」や「流水文」まで、中国語の特徴を解説しています。各所に配した「読書案内」も充実しています。
『故郷』の訳は、時間軸に沿って継続的に起こる出来事が句点でどんどんつながっており、どこに句読点を入れて日本語らしく訳すのかがポイントですが、この本では「流水文」の中でその読み方のヒントを与えてくれます。
新着図書やDVD は掲示板をご覧下さい。
2023年度本科・本科研究科募集中
- 2次 12/17~1/16 入試:1/18(水)
- 3次 1/21~2/13 入試:2/15(水)
- 4次 2/18~3/ 9 入試:3/11(土)
- 5次 3/13~3/23 入試:3/25(土)
これ以降も受付けます。お問い合わせ下さい。
1月開講検定対策講座
中国語検定2級対策講座
2023年3月の中検に照準を合わせ、過去問題の解説や模擬試験を通して聴き取りや読解の訓練を行います。
開講日:2023年1月7日(土) 10:00~12:00 全8回
講 師:戴暁旬 受講料:31,200円
HSK6級対策講座(A)(B)
A講座(13:30~15:30) 講師:長澤文子・山本希和子
・听力第1、2部・阅读部分
B講座(16:00~18:00) 講師:金鮮栄
・听力第3部・书写部分
開講日:2023年1月7日(土) 各全10回
受講料:39,000円(A/B各) ※別途入学金
「歌舞伎と京劇の交流史」 講師:小野田惠
11月12日(土)13:00~15:00
沢山の写真や映像で、興味深いエピソードを交えながら歌舞伎と京劇の交流史をお話くださいました。
「吉田先生を偲ぶ会」 豫園にて
「吉田先生を偲ぶ会」を行いました。当日は、現旧教職員、旧学生、校友会の方など吉田先生と交流のあった67名が参加し、故人を偲びました。
お知らせ
「学院報」は2023年春号より希望者のみに郵送することになりました。「学院報」は日中学院ホームページに掲載されておりますのでそちらをご覧下さい。郵送希望の方はご連絡くださいますようお願い致します。